2015年に始まったパートナーシップ制度も変わってきました。こちらの記事、ぜひお読みください。素晴らしいことだと思います。
▷朝日新聞2022/3/19
https://digital.asahi.com/sp/articles/ASQ3L6WJTQ2PUDCB00D.html?pn=6&unlock=1#continuehere
ただし、「じゃあ同性婚がいらない」わけでは決してありません。
同性愛者はこちら、異性愛者はこちらと制度の入り口を分けてはいけないからです。
それは赤のクレヨンと緑のクレヨンを判別、区別するのとは違います。クレヨンを分けても誰も傷つかないし、人生を通しての不幸は起きません。
(描く時に便利で、必要なことですね)
しかし、同性愛者と異性愛者、トランスジェンダーとシスジェンダー(心の性別と体の性別が一致していて違和感のない人)に違いをつけて、片側を落としめ、不当に少数派を生き難くすることは、区別ではなく差別なのです。人の尊厳や命に関わる差別なのです。
全ての人が結婚する必要はもちろんありません。ただ、「全ての人に選択肢が開かれていること」が重要です。
私のパートナーは、Xジェンダーの人です。自分のことを男でも女でもないと思っているのか、中間だと思っているのか、毎日違うのか、両方だと思っているのか、一緒に暮らしていても、私にはわかりません。本人にしかわからないこと、とらえられないことがあります。
ただ、親密になっていく過程で、私が何気なく「ああ、Xジェンダーだったんですね、失礼しました。」と言ったところ、Xジェンダーという言葉や概念がいたくお気に召したらしく、私はこの仕事をしていてよかったと思いました。
別に「私の性別は私」でも、全く構わないんですけどね。本人がラクなのが一番いいです。それでいいです。決めなくても。
私にわかることは、カテゴライズではなく、「なぜだかわからないけど、この人と一緒に生きていきたい」「私とはぜんぜん性格が違ってすぐケンカにもなるし、なんで一緒にいるのかわからないのに、だけど一緒にいると本当に素晴らしい」ということだけです。
何故、急に女性装ででかけるのか。
何故、急におばちゃんになるのか。
何故、「最近の若者は、男の子が女の子からわかならいね」と言うのか(え、あなたは…???)何故、すぐばれるしょうもない嘘をつくのか。何故、明るく前向きでいられるのか。何故、私の部屋着を勝手に着るのか、そして汚すのか…
「レズビアンと本当に言われたくない! ヤダ! 」と強く主張されると、「私のアイデンティティはレズビアン なんだけどなあ」と複雑な気持ちになることもあります。おそらく、それだけ傷付けられてきた背景があるのでしょう。
私が悲しいのは、パートナーの世界が、映画『boys don’t cry』で止まっていることです。
(若い方は名作なのでご覧になってみてください。ただし、心が元気な時にしてね)
それはカミングアウトできないでしょう。
私は、夫をそうさせているものを取り除きたい。
そんな悲しい社会のままであってほしくないと思っています。
クローゼットのXジェンダーの人と生きるというのは、私にとってもあたらしい挑戦です。
カミングアウトしている友人に、連名で結婚祝いを贈ることができなかったとき、どうしてお祝いする気持ちでいっぱいなのに、こんなことが起きるのか、と少し悲しくなりました。
大好きな夫のことをSNSにあげることも、夫の持ち物が写り込んだ写真を使うこともできません。薄氷を履むような思いです。
クローゼットの人の意思、選択、尊敬を守ること、尊重すること。
だけど、ふと、世の不条理、理不尽に心が負けそうになります。悲しいなぁ。
もし皆さんが、「大切な人やご家族のことを隠せ」と言われたら、どうでしょう? 無理じゃないですか? 不自然じゃないですか? とっても難しくて、困ってしまうと思います。相談できる人が極端に限られることも大きな問題です。コロナ禍にあっても、保健所に連絡することもできないのです。
不慮の事故に遭ってさえ、家族として扱われないという悲しいことが今日も起こっているのです、2022年の日本で。
同性婚ができないのは、G7の中でもはや日本だけです。家族として扱われないのです。
記事中にもあるように、おひとりおひとりが、差別しないよ、そんな苦しいこと、困りごと、悲しかったことがあったんだね、知らなかった、ごめんね…わからないこといっぱいだけど今日からちょっとずつ知っていくよ、と思っていただければ十分です。もうじゅうにぶんです。
それが、『司法に社会から遊離した判断を求めることはできません。だからこそ、社会を先に変えておくことが重要だと思います』(朝日新聞2022/3/19記事より)の具体的な内容です。
難しいことではありません。どうか、忙しかったり、心が痛かったりする毎日の中で、ほんの少しだけでいいので、マイノリティのも共に生きられるように、考えてみていただけたら、とってもありがたいです。
今の若い人は、ブログを読むより、YouTubeや TikTokで発信している当事者を見て、LGBTに親しみを感じてくれているようで、発信している方にも、受け取ってくれている若い世代の人たちにも、本当にありがとうと伝えたいです。まあブログは読まれないので伝わらないのですが笑
こんな長い文章を読んでくださった方、次の世代に同じ思いをさせるのは、やめましょう。
若い人たちが、「えー? 昔は結婚できなかったの? なんで?」と言ってくれている未来が、私にはちゃんと見えます。